コンセッション方式とは
民間企業はサービス内容や施設利用料の設定などで幅広い裁量が認められ、独立採算となる。
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水道法改正案(すいどうほうかいせいあん)日本国民の生活に影響する法案がこれから国会で審議されようとしています。
具体的にどうなるのか?ざっくりと言えば「水道料金が高くなる」ようです。
本当なのでしょうか?
水道法改正案とは一体何でしょうか?
ご存知の方もいれば、まだ知らなかった方もおられるはずです。
様々な角度から調べてみましたので、これからご紹介します。
その前に「水道法改正案」は、水道事業の広域化や民間企業の参入を促す水道法改正案が2018年7月、先の国会で与党などの賛成多数で衆議院で可決しました。
しかし会期切れとなり継続審議となっ案です。
このため今現在、臨時国会で参議院で可決・成立する見込みです。
はじめに日本とそれ以外の国では飲める「水道水」は、どれだけあるのでしょうか。
スイス フランス オーストリア ノルウェー ニュージーランド ドイツ アイルランド アイスランド
安全に水道水を飲める国は日本以外に、8カ国でした。
日本と外国の水道料金はどれくらい違うのでしょう。
1㎥(1000リットル使用した場合)あたりの料金比較 | |
日本 | 1㎥=246円 |
フランス | 1㎥=470円 |
オーストリア | 1㎥=587円 |
引用元:OECD
日本とフランスと比べ224円増、オーストリアと比べては341円増となります。
日本料金をベースにするばフランス約191%、オーストリアでは2倍以上の約238.6%となり驚きの値段です。
出しっぱなしの水は控えたいと思う心境になります。
報道局の調査にる例をご紹介します。
東京都水道局1ヶ月4人世帯(平均) 水道使用量:25.1㎥ 水道料金:3,645円
値段が高かったオーストリア1㎥:587円と比較すると約7,500円となり、いかに日本の水道が安いことを証明しております。
このままの値段で今後も生活してゆきたい気持ちにはなりますが、政府は民営化「水道法改正案」を成立させ、私たちの暮らしを脅かそうとしています。
水道事業が「民営化」になろうとしているなかですが、「安全基準とは?」どんなものなのでしょう。
まず安全で飲める水というのは、国の厳しい基準があり51項目に及ぶ水質検査をしています。
51の検査後、合格(クリア)して日本の水が飲める環境になっています。
細かく基準が掲げてあります、この検査を通過しているわけですから「安心・安全」が保たれているのです。
これだけの検査をしていても、日本の水道料金が外国に比べ安いとは正直驚きます。
この時期この国会でなぜ「民営化」するのか?民営化しなければならない問題があるようです。
1、水道施設の老朽化
日本各地で水道管の老朽化が深刻化されています、水道管を全部直すには約130年以上かかるといわれてます。
各地で修理が必要な距離は、8万kmあるそうです。
地球の赤道に沿うと8万kmは2週分の距離だそうです。
距離だけでもすごいのに、そればかりでなく工事・改修費用もかかります。
内閣府の経済財政諮問(けいざいざいせいしもん)会議有識者議員資料によれば、年間1.7兆円かかってくると推定されています。
この1.7兆円(水道事業)は現在、各地方自治体が運営していますがこちらも問題が揚げられてます。
・直すお金(改修工事)費用がない
・人がいない
場所によってはこれらの理由で民間の力が必要と緊急事態となっています。
2、浄水場の老朽化
河川から取水した水や地下水などを浄化・消毒し、上水道へ供給するための水道施設です。
下水道は、主に都市部の雨水および汚水を、地下水路などで集めた後に公共用水域へ排出するための施設・設備の集合体。多くは浄化などの水処理を行う。
これらの施設、設備が老朽化が進んでおります。
3、管渠(かんきょ)の老朽化
管渠とは、路面に埋設した排水管、または排水用の側溝。
こちちらも各自治体が管理している設備が老朽化しています。
4、日本人口減による料金収入の減少
人口減少により、過去10年間で2,000億円の減収(売上が減る)実態となりました。
水道水の消費量は、徐々に減少しております。
厚生労働省によると、ピークだった2000年(平成12年)の一日3,900万㎥から、2014年(平成26年)には3,600万㎥に減少してます。
このペースでいけば2060年には2,200万㎥まで落ち込むと推計されてます。
5、自然災害や地震による水道被害の頻発化
水道施設の全国耐震化率は基幹管路でだけでも38.7%です。
幹管以外もどれでの幹があるのか考えると想像つきません。
自然災害による被害も温暖化の原因なのか、最近被害が多く大きくなってきている感じがします。
復旧にかかるコストも想定されていないはずですから民営化になれば、アップするはずです。
6、水道局の職員不足
定年退職者が増加し、水道職員数が減少。
政令市や給水人口50万人以上の自治体では、職員数が確保されています。
しかし給水人口5万人以下の自治体では、約1400の水道事業体のうち8割が職員が10人以下となり確保されてないのが現状ようです。
すでに外国では、水道事業を民営化したために失敗した国もあります。
海外の水道事業失敗例を掲げてみます。
フランス・パリ
1985年(昭和60年)に実施 民営化により水道料金が3倍に膨れ上がる。
フィリピン・マニラ
1997年(平成9年)に実施 民営化により水道料金は4~5倍に膨れ上がる。
民営化したマニラでは水道料金が5倍になりました。
ボリビア・コチャバンバ
1999年(平成11年)に実施 民営化により水道料金2倍、大規模な暴動、反発デモが暴徒化し死傷者約200人となる惨事、いたましい出来事となりました。
アメリカ・アトランタ
1999年(平成11年)アトランタでは、民営化により蛇口から茶色い水が出たといいます。
南アフリカ
南アフリカでは料金高騰で1,000万人以上が水道を利用できなくな事態も発生しました。
このような事態となり英国の調査機関によると、2000年(平成12年)からの15年間に世界37カ国で235の水道事業が「再公営化」しています。
失敗する可能性の高い「水道民営化」今頃?どうして?日本が?と考えてしまいます。
水道民営化になれば、各自治体や地域によっても違いがありますが、確実に値上がりし料金は今の2~3倍になるといわれてます。
これから恐ろしくなる社会と認識が必要です。(消費税10%、水道料金値上げ)
コスト削減優先の民営化には、様々な問題が発生するかもしれません。
衛生面、安全対策、手抜きをしたため、イギリスでは1990年(平成2年)代に赤痢患者が増えました。
フランスでも未殺菌のままでは飲めない水が提供されるなどの問題が頻発しました。
水道料金の高騰も各地で確認されてます。
パリでは1985年(昭和60年)から2009年(平成21年)までに265パーセント水道料金上昇します。
背景には民間企業である以上、採算がとれなければ話にならないので、公営以上に水道料金の引き上げは簡単に行われる実態がありました。
こうした問題が掲げられ、一旦民営化されたものが契約期間が切れたと同時に再公営化される。
あるいは契約を打ち切りしても再公営化されるケースが後を絶たないことが報告されています。
水道の運営は先ほども申し上げましたが「地方自治体」です。
水道法改正案が可決され成立すると、民営化となるので「民間業者」が加わります。
民間業者は儲けを出す、利益を出すためには、仕組みや儲ける方法を組み込むはずです。
儲けさせないためなのか?下記方式を導入するようです。
海外の失敗例も踏まえて「水道法改正案」ではコンセッション方式を採用します。
コンセッション方式とは
国や自治体が公共施設などの所有権をもったまま、運営権を民間企業に売却するやり方。国や自治体には売却益が入り、運営のための財政負担がなくなる。
民間企業はサービス内容や施設利用料の設定などで幅広い裁量が認められ、独立採算となる。
地方自治体:所有権がある
民間業者 :運営権がある
上下水道施設は行政が所有し、運営権を民間に委託するコンセッション方式をとるが、事実上の民間への丸投げです。
コンセッション方式を採用すれば、水道料金は本当に2~3倍と上がらないのでしょうか?
地方自治体と民間業者が「官民一体、官民連携」で行う事業展開となり安心・安全を掲げている法案です。
その背景には、海外の失敗事例のように民間業者だけでの運営ではなく、自治体も加わるからです。
水道料金の枠組みを自治体側が決めるので、民間業者に多額の儲けさせないよう工夫された改正案となっているためです。
逆に、水道事業は人口減少で利益が減る一方になるはずです。
民間に委託した場合、利益のために水道料金を上げるのは確実だと思います。
結果、市民にしわ寄せが来るはずです、民営化されれば料金は上がり、サービスは低下・低迷するはずです。
専門家の話では、設備改修工事のためには値上がりも仕方ない。
水道料金の枠組みについては「更に議論が必要」と言っております。
議論が必要?ということは、まだ煮詰まっていない(検討されていない)状況下で「水道法改正案」が可決?
何ともあきれえって物も言えない心境です。
日本だけが十分な議論や説明もないまま民営化を進めるという異常事態です。
この水道法改正案は、コンセッション方式を採用し管民一体した運営です。
国や自治体には売却益が入り、運営のための財政負担がなくなるメリットがありますが、民間業者に支払う料金設定次第では、値上がる可能性大だと思います。
水道法改正案は、水道料金の収益の減少を意味していると思います。
水道事業は独立採算制が原則ですから、基本的に水道料金で運営されているのです。
水道水の消費量が減れば、実は水道料金が上がるという構図があり、多くの自治体では水道料金の引き上げが実施又は検討されるはずです。
また、老朽化する水道施設の更新費用、自然災害の多発、多くの資金が必要です。
「料金引き上げ」だけでは追い付かないの現状ですから民間業者の参入です。
平成10年に1兆8000億円を超えていた水道事業への投資額は、平成25年には約1兆円にまで下落↓しました。
団塊世代の退職で水道職員は30年前と比べて約30パーセント減少しています。
「金も、人も、技術も、同時多発的に失われる状況」の水道事業となってしまう。
後にも先にも、水道法改正案が可決され、人口減、水道管老朽化、コンセッション方式を採用しながら、最終的には値上げとなるはずです。
おわりに
WHO(世界保健機構)によると、地球にいる人口の6人に1人、約12億人が安全で飲める飲料水を確保出来ていないそうです。
鉄道(JR)、郵便、NTT民営化よりやばい水道の民営化、野党もメディアもなぜ大騒ぎしないのだろう。
2001年(平成13年)、小泉内閣政権下で水道法が改正され、浄水場の運転管理や水質管理業務の民間委託が可能になっています。
外資系企業が2012年4月から愛媛県松山市の浄水場の運転業務などを始め、単独で日本の自治体の水道業務を受託するのは初めてというニュースも過去にありました。
水道民営化推進派からの意見は「他国の事例は参考にしかならない」「そもそも水道民営化に行き詰ったのが全体の34パーセントなら、過半数はうまくいったのではないか」といった批判もあり得る気がします。
民営化は万能薬となるのか、ならないのか
静岡県の浜松市の場合、すでに水道民営化が実施されています。
水道料金や下水道使用料は市条例で定められ、反対の声があがったことを受けて市が事前に当該地域の住民に対して「請求金額に変更はない」と通知しており、少なくとも「いきなり料金引き上げ」には至っておりません。
それでも民営化の事案が成功したから大丈夫と判断するには早すぎるのではないでしょうか。
さぁ可決され水道民営化なるのか?
「水道民営化対策方法」も下記に掲げてますので、よろしければ参照願います。
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